旅行のお金がない時の対処法は？諦める前に知りたい資金調達と節約のコツ

旅行を計画する上で、最初に行うべきは費用の相場を把握することです。目標となる金額が分かれば、貯金の計画も立てやすくなります。

観光庁の旅行・観光消費動向調査によると、日本人の国内旅行における1人1回あたりの平均費用は、2023年は44,034円（宿泊63,253円／日帰り19,027円）、2024年（年間値・確報）は46,585円（宿泊69,362円／日帰り19,533円）でした。2025年も直近の速報で46,6千円前後と上昇傾向にあります（2024年確報、2025年4–6月期速報）。この金額には、交通費や宿泊費だけでなく、飲食代や買い物代なども含まれています。

一方で海外旅行は、渡航先によって費用が大きく変動します。例えば、近場の韓国であれば4泊5日で1人あたり6万～12万円台（諸税別）の商品が中心で、ハイシーズンや直前手配・上位グレードでは15万円超となる例もあります（4トラベルの検索例）。ハワイへの3泊5日の旅行では、25万～40万円台（諸税別）の商品が多く、時期により幅があります（HISの解説記事）。

このように、まずはご自身が希望する旅行のスタイル（国内か海外か、宿泊か日帰りか）に合わせて、おおよその予算感を掴むことが、計画の第一歩と言えるでしょう。

「貧乏旅行」と聞くと、何かを我慢するだけの辛い旅を想像するかもしれません。しかし、本来は単なる節約旅行とは異なり、自分の価値観に従って無駄を省き、工夫を凝らして自由な旅を創造するスタイルを指します。

この旅の面白さは、「我慢」ではなく「選択」にあります。例えば、高級ホテルに泊まる代わりに、1泊数千円のゲストハウスを選んでみる。そうすることで、宿泊費を抑えられるだけでなく、他の旅行者や現地の人々と交流するという新しい価値が生まれます。食事も同様で、毎回レストランで外食するのではなく、地元のスーパーで食材を買い、共用のキッチンで料理をすれば、その土地の食文化に触れる「体験」に変わります。

このように、お金をかけないからこそ得られる出会いや発見があり、工夫するプロセス自体が旅の醍醐味となるのです。決められたツアーに参加するのではなく、自分だけの旅を組み立てることで、心の満足度は金額以上に高まるでしょう。

旅行費用の中で最も大きな割合を占めるのが交通費と宿泊費です。逆に言えば、この2つを工夫するだけで、旅行全体の費用を劇的に抑えることが可能になります。

なぜなら、交通手段や宿泊施設には様々な選択肢と割引サービスが存在するからです。情報を知っているか知らないかで、数万円単位の差が生まれることも珍しくありません。ここでは、具体的な節約方法を交通費と宿泊費に分けて解説します。

交通費を抑える具体的な手段

移動にかかる費用は、利用する乗り物や予約のタイミングで大きく変わります。 早めに計画を立てられるのであれば、「早割」の利用が最も効果的です。航空券や新幹線、宿泊施設などが提供する早期予約割引を活用しましょう。 遠距離の移動には、LCC（格安航空会社）の利用も有効な選択肢です。ただし、LCCは荷物の重量制限が厳しかったり、空港が都心から離れていたりする場合があるため、利用条件を事前にしっかり確認することが大切です。 また、夜行バスは、交通費と宿泊費を同時に節約できる一石二鳥の手段です。移動中に睡眠をとれるため、時間を有効に使いたい方にもおすすめです。

宿泊費を抑える具体的な手段

宿泊場所の選択肢を広げることで、費用を大幅に削減できます。 「寝るだけ」と割り切れるのであれば、1泊3,000円前後から利用できるゲストハウスが最適です。他の宿泊者との交流が生まれやすいのも魅力の一つです。 さらに費用を抑えたい場合は、夜間の「ナイトパック」を導入しているネットカフェもあります。席種と地域で料金差が大きく、飲み放題カフェ席の地方店では2,000〜3,000円台の例も、都心や鍵付き個室では4,000〜8,000円超になる場合もあります。利用前に公式情報で最新料金を確認しましょう（例：快活CLUB公式）。 自然を満喫したい方には、キャンプや車中泊という手もあります。特に、設備の整ったオートキャンプ場であれば、初心者でも安心して楽しむことが可能です。

大人数の移動や宿泊が必要となる家族旅行は、どうしても費用がかさみがちです。しかし、家族旅行ならではの節約術や、活用できる公的な制度を知っておくことで、出費を賢く抑えることが可能です。

例えば、小さなお子様がいる家庭であれば、「添い寝無料」のサービスを提供しているホテルを活用しない手はありません。これは、大人のベッドで子どもが一緒に寝る場合、子どもの宿泊料金が無料になるというものです。チェーンや施設により年齢・人数の条件が異なるため、必ず事前確認を。例として、東横INNは小学生以下の添い寝無料（ベッド1台につきお子さま1名）と明記しています（公式案内）。

また、少し意外な方法として「ふるさと納税」の活用も挙げられます。応援したい自治体に寄付をすると、返礼品としてその地域のホテルや旅館で使える宿泊券、旅行クーポンがもらえる場合があります。なお、「実質2,000円」の自己負担で済むのは、控除上限内での寄付かつ、確定申告またはワンストップ特例の手続きを行った場合に限られます（参考：ふるさとチョイスFAQ）。同様に、企業の株主に提供される「株主優待」で宿泊割引券をもらう方法もありますが、こちらは株価の変動リスクを伴う点に注意が必要です（例：藤田観光の優待）。

旅行の計画を立てたものの、どうしても手元の資金が足りないという状況もあるでしょう。その場合は、旅行までに自分で収入を増やす方法を検討するのも一つの手です。

即金性を重視するのであれば、日払いや週払いに対応している短期アルバイトがおすすめです。イベントスタッフや倉庫での軽作業など、特別なスキルを必要としない仕事も多くあります。本業とのバランスを考える必要はありますが、旅行という明確な目標があれば、モチベーションを維持しやすいでしょう。ただし、勤務先によっては副業が禁止されている場合もあるため、就業規則の事前確認は必須です。

もう一つの方法として、家にある不用品を売却することが挙げられます。フリマアプリやリサイクルショップを利用すれば、着なくなった服や読まなくなった本、使わなくなった家電などが旅行資金に変わる可能性があります。家の整理も同時にできるため、一石二鳥と言えるかもしれません。出品や梱包の手間はかかりますが、思いがけない高値で売れることもあります。

長期の休暇が取れなかったり、どうしても宿泊費を捻出するのが難しかったりする場合、無理に遠出の計画を立てる必要はありません。そのような時は、近場への日帰り旅行でも十分に気分転換ができます。

日帰り旅行の最大のメリットは、宿泊費がかからない点です。これにより、旅行全体の費用を大幅に圧縮できます。観光庁の2024年年間値では、国内の日帰り旅行の平均費用は19,533円と「約2万円弱」です（統計）。朝早く出発して現地での滞在時間を確保すれば、想像以上に充実した一日を過ごせるでしょう。

公共交通機関で行ける範囲の観光地や、少し足を延ばした温泉地など、探してみると魅力的なスポットは意外と多く見つかるものです。高額な旅行に行けないことにストレスを感じるよりも、まずは現在の予算で実現可能な小さな旅を楽しむことが、心を豊かにする上で大切です。

手元に現金がなくても、クレジットカードを利用すれば旅行費用の支払いが可能です。航空券やホテルの予約、現地での食事代やお土産の購入など、多くの場面で活用できます。

この方法の大きなメリットは、支払いを先延ばしにできる点です。決済した日から実際の銀行口座からの引き落とし日までは、1ヶ月以上の猶予があることがほとんどです（例：楽天カードは月末締め翌月27日払いなど）。その期間内にお金を用意できれば、一時的な資金不足を乗り越えられます。

ただし、現金が減らない感覚から、つい使いすぎてしまうリスクには十分な注意が必要です。支払日に口座残高が不足していると信用情報に影響が出る可能性もあります。分割払いやリボ払いは便利な機能ですが、手数料がかかることを理解した上で、計画的に利用しましょう。

トラベルローンとは、その名の通り、旅行費用に限定して利用できる「目的別ローン」です。銀行や信販会社などが提供しており、旅行代理店のツアー申し込みと同時に手続きできる場合もあります（例：アプラスのトラベルローン）。

最大のメリットは、使い道が自由なカードローンなどと比較して、金利が低めに設定されている傾向があることです。借りる目的が「旅行」とはっきりしているため、金融機関側もリスクが低いと判断しやすいためです。

一方で、デメリットも存在します。まず、申し込みの際にツアーの見積書や予約確認書といった、資金使途を証明する書類の提出を求められることが多く、手続きに手間がかかります。また、審査にも時間がかかる傾向があるため、急な旅行には向きません。さらに、借りたお金はツアー代金や交通費などに充てられることが前提であり、現地での飲食代やお土産代といった自由な出費には使えないケースがほとんどです。旅行費用全体ではなく、あくまでパッケージ料金などの支払いに限定して利用を検討するのが良いでしょう。

カードローンは、トラベルローンのように資金の使い道が限定されていない、自由度の高いローンです。契約した利用限度額の範囲内であれば、必要な時に必要な金額をATMや振り込みで借り入れることができます。

このため、航空券や宿泊費だけでなく、旅行先での食事代、お土産代、アクティビティ参加費など、旅行に関わるあらゆる費用に充当できるのが最大のメリットです。また、おすすめのカードローンの中でも消費者金融系を中心に「即日融資」に対応しているサービスも多く、急にお金が必要になった際にも対応しやすい点が特徴です。一部のカードローンでは初回の「無利息期間サービス」が設けられており、期間内に完済できれば利息の負担なく利用することも可能です（例：アコム、レイクALSA）。

しかし、その利便性の裏返しとして、金利はトラベルローンよりも高めに設定されているのが一般的です。借り入れが手軽な分、安易に利用すると返済の負担が大きくなる可能性があります。利用する際は、必ず返済シミュレーションを行い、自身の返済能力を超えない範囲で、計画的に活用することが極めて重要です。

旅行中に想定外の出費が重なり、「現金が足りない」という事態に陥る可能性もゼロではありません。そのような緊急時には、ご自身のクレジットカードに付帯している「キャッシング機能」を利用するという選択肢があります。

これは、クレジットカードを使って、銀行やコンビニのATMから現金を直接借り入れることができるサービスです。国内はもちろん、対応しているカードブランドであれば海外のATMで現地通貨を引き出すことも可能です（例：JCBの案内）。急に現金が必要になった際には非常に便利な機能と言えます。

ただし、キャッシングは手軽な借金であることを忘れてはいけません。利用した翌日から比較的高い金利の利息が発生します。また、キャッシング枠を利用するには事前に審査を通過し、枠を設定しておく必要があります。いざという時のための備えとして機能の有無を確認しておくのは良いですが、あくまで最終手段と捉え、常用することは避けるべきです。利用した場合は、帰国後すぐに繰り上げ返済をするなど、利息負担を最小限に抑える努力が求められます。

トラベルローンやカードローンなど、どのような方法でお金を借りる場合であっても、絶対に欠かせないのが「無理のない返済計画」を立てることです。旅行の楽しい思い出が、後の返済苦で台無しになってしまっては元も子もありません。

計画を立てるためには、まずご自身の毎月の収入と支出を正確に把握する必要があります。家賃、光熱費、食費など、生活に最低限必要な金額を差し引いて、毎月いくらまでなら返済に充てられるのかを算出します。このとき、予期せぬ出費に備えて、少し余裕を持たせた金額を設定することが大切です。

次に、借入を検討している金融機関のウェブサイトなどにある返済シミュレーションを利用しましょう。借りたい金額と金利を入力すれば、毎月の返済額や返済総額、返済期間の目安が分かります。シミュレーション結果と、ご自身が捻出できる返済可能額を照らし合わせ、計画に無理がないかを冷静に判断してください。もし返済が厳しいと感じるなら、借入額を減らすか、旅行プランそのものを見直す勇気も必要です。

お金を借りる際の注意点については、安全にお金を借りるための注意点で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

これまで様々な資金調達法を紹介してきましたが、最も健全なのは、やはり日頃から計画的に貯金をして、自己資金で旅行に行くことです。借金をせずに済むため、利息の負担もなく、心から旅行を楽しむことができます。

貯金が苦手な方に特におすすめしたいのが、「先取り貯金」という方法です。「給料が余ったら貯金しよう」という考え方では、ついお金を使ってしまい、なかなか貯まりません。そうではなく、給料が振り込まれたら、まず旅行用の貯金額を別の口座に移してしまうのです。残ったお金で生活するようにすれば、強制的にお金を貯める仕組みが作れます。

また、貯金額を増やすためには、家計の見直しも効果的です。特に、毎月一定額が出ていくスマートフォン料金や保険料、サブスクリプションサービスといった「固定費」から見直すのがポイントです。一度見直せば節約効果が継続するため、効率的に貯蓄を増やすことが可能になります。

この記事では、お金がない状況でも旅行を実現するための様々な方法を解説してきました。結論として、旅行は工夫次第で、予算が限られていても十分に楽しむことが可能です。

まずは、旅行費用の相場を把握し、早割やオフシーズンを狙う、LCCやゲストハウスを活用するといった節約術で、計画全体の費用を圧縮することが基本となります。それでも資金が不足する場合は、短期アルバイトや不用品の売却で収入を増やす方法もあります。

最終手段としてお金を借りる選択肢もありますが、その際は必ず無理のない返済計画を立てることが絶対条件です。クレジットカード、トラベルローン、カードローンそれぞれの特性を理解し、ご自身の状況に最も合った方法を慎重に選ぶ必要があります。

最も大切なのは、情報を集め、計画を立て、賢く選択することです。「お金がないから」と最初から諦めるのではなく、この記事で紹介した方法を参考に、あなたらしい素敵な旅を実現してください。